クライン孝子  お知らせ

皆様、お元気でいらっしゃいましょうか。
私の方はこつこつ、ぼつぼつです。

2月は逃げる月、こうして皆様にお便りしている間も、あっとういうまに2月は過ぎていくのでしょうか。

さて、最初に、ドメインアドレスとEメールが下記の通り変更となりましたのでお知らせいたします。

ドメインアドレスは  http://www.takakoklein.de
Eメールアドレスは  mail@takakoklein.de

お手数をお掛けしますが、今後上記のようにご変更頂きますよう、よろしくお願い致します。

ところで、親バカ丸出しで申し訳ありませんが、実は一人息子がようやく「デイプローム」という資格をいただいて、大学を卒業することになりました。1月24日に、その式典に主人と一緒に参加しました。

夕方6時、大学の講義室で行われた「デイプローム」資格証明書授与式では、経済学部卒業生68人とその近親者が参列しました。席はとくに指定されていませんので、自由に好きな席を選んで座ります。
そして学長、ヘッセン州文化相の短い挨拶のあと、経済学部長のプロフエッサーから、一人ひとり、証明書を受け取ります。その後、メンザ=学生食堂で、シャンペンで乾杯しカナッペをほおばりながら一時間ほど親しい者同士で談笑して、行事は終了しました。質素で家族的で、リラックスした卒業式で、大いに気に入りました。



さて、そのドイツ大学事情ですが、ドイツは日本のように入学試験はありません。アビチュア=大学入学資格証明を持っていますと、大学希望者は誰でも、好き勝手に、大学入学を許されます。ただし、アビチュアの成績次第では、入学を拒否されることもあります。

息子の大学ですと、入学時の大学入学応募者は約700人、うち約110人のみ入学を許されました。その中で最後まで残り「デイプローム」を取得したのは68人だったそうです。

「行きはよいよい、帰りはこわい」とはよくいったもので、ドイツでは大学入学は割と簡単なのですが、卒業するのが大変なのです。しかもその卒業試験も二回しか受けられない。二回とも不合格だと、それまで勉強したすべてふいになってしまうのです。ではどうすればいいか。仕方がないので別の学科をまた一からやり直すか、別の道を歩むしかない。しかも、在学中も油断がなりません。、常に試験があり、その試験の成績が悪いと先へ進めない。途中でぼろぼろ脱落して学業を断念してしまう学生がいかに多いことか。

そのクライマックス=難関はデイプローム・アルバイト=卒業論文を仕上げた後の口頭試験です。息子の大学ですと、4回あり、1月11日、14日(偶然息子の27歳の誕生日だった)、16日、18日で、回を重ねる毎に難かしくなります。口頭試験の時間は一人、15分間、質問する教授一人とその隣に陪審員の教授が同席します。質問は一人ひとり違いますから、後で受ける学生が先に受けた学生に質問内容を尋ねることは不可能です。中には緊張して一夜にして白髪が生えてきたとか、鎮静剤を飲まないことには試験に臨めない同級生もいたとか。息子がつまいずいたのは3回目でした。頭を抱えて帰宅し、『だめだ』とうめくように悲観するものですから、励ましはしたものの、私も心配でその夜はろくろく眠れませんでした。最後4回目の試験は18日12時30分にありました。30分後の午後1時きっかり、「受かったア」と電話がかかった時は、主人と飛びあがって喜んだものです。

ディプロ−ム授与式に出席−息子のガールフレンドと私達 プロフエッサーから「デイプロ―ム」証明書を受け取る息子


卒業までの最低単位は8セメスター(ゼミナール)=4年ですが、皆研修(息子は東京のNHKで研修)を受けたり、奉仕活動(息子は兵役服務)を行ったり、アルバイト(息子は地方新聞のフリーライターや、NHKの取材ヘルプ、ハイヤーの運転手などのアルバイト)したり、見習生として会社に勤めたり、外国の大学で短期留学して、実社会体験も行いますので、卒業平均年齢は、息子が在籍した大学の経済学部では27,8歳(息子は27,1歳で卒業)とのことでした。


ドイツの成績は「1.0」が最も良くて、「2」,「3」,「4.5」までぐらいが合格ラインで、それ以上、つまり「4.6」以上の成績だと不合格となります。
 「1」と「2」の間、「2」と「3」の間、「3」と「4」の間にはそれぞれ、「1.1(1+0.1)」、とか「2.2(2+0.2)」とか「3.9(3+0.9)」といったように0.1から0.9の9段階があります。

今回の卒業生の中には、一人、「1.0」という最優秀学生がいました。当人の名が発表されますと、皆で拍手し、お祝いの言葉を掛けました。息子の成績は一応「上」の部に入ったようで、「あのパーテイ・ボーイが一体どこで勉強していたものやら」と、主人と思わず顔を見合わせてしまいました。 きっと要領が良かったのかもネ。
 
というわけで、今、私はほっーと一息ついているところです。
あとは野となれ山となれ!

そうそう、さっそく作家曽野綾子さんから温かいFAXが届きました。
「嬉しいお知らせでした! よかったですね。これで親の責任も『卒業』ですね。『ヨウちゃん、おめでとう』を言っておいて下さい」と。
 
曽野さんとは、さっそく2月5日、シンガポールでお会いすることになっています。
シンガポールは初めてですので、とても楽しみにしています。
その目的ですか? 次回の「お知らせ」まで内緒にしておきますね。
 

ではまたまた


2002年 2月1日

クライン孝子

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